平成の寅さん 見た 聞いた 書いた

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地域の輝きを追う 知求探訪マガジン Vol.11
Danだん くまもと
文責:森田宜子(熊本県農村整備課) 

ふるさと樂校 ~グリーンライフ中学校~ by NPO法人きらり水源村

ふるさと樂校が開校!
 寒さ厳しい冬空のもと、熊本県菊池市にある「きくちふるさと水源交流館」に20名の農業高校生と34名の一般参加者が集まった。1月9日から11日までの2泊3日で行われる人材育成研修の「ふるさと樂校~グリーンライフ中学校~」に参加するためである。
 この研修は、きくちふるさと水源交流館を拠点として、地域振興に取り組むNPO法人きらり水源村の企画提案により熊本県農村整備課との協働で実現した研修会で、中山間地域などの農村を担う次世代のリーダーを育成することを目的として開催されたものだ。
 地域づくりや農業・自然環境とつながりを持ったビジネス展開に関心を持つ人々が集い、ワークショップや講義を通じて、地域で生き抜くためのヒントや手立てを模索する。
 この研修企画は3回シリーズで開校され、ワークショップをメインに、座学では各回ごとに農業や循環型社会などをテーマとした講義が行われる。公欠をとり、すべての講義に参加する農業高校生に加え、社会人や地域住民の一般参加者は忙しさの合間を縫って、関心のあるプログラムだけの参加も可能となっている。

プログラムの特徴はこれ!
 この研修の特徴のひとつに、3ヶ月という開催期間が挙げられる。一日で大規模に開催されるシンポジウムのような一過性の成果を求めるものとは異なり、長期間をかけて、共同作業や学びの振り返りと共有等を行うことで記憶や心にも潜在的に刻まれるような研修内容とすることがねらいだ。
 また、2つ目に、講師陣の数が総勢13名と多いことも特徴といえる。各分野やフィールドの第一線で活躍する講師陣が全国各地から招かれる。多彩な人が数多く交わることで、講師―生徒間はもとより、講師―講師間においても、新しい刺激と意欲を誘発することができる新しいかたちの取り組みだ。

ふるさとで学ぶ意義とは?
 今、高齢化・過疎化が進む中山間地域は若い力を必要としている。また、一方で、農村地域を新たなライフワークのステージとして捉え始めている若者も少しずつ増えてきている。しかし、農村地域で生計を立ててゆくことはたやすいことではない。経済活動の難しさが大きな障害になっているのが現状だ。そうした状況をふまえ、「地域に根ざして生き抜く術」となるヒントを探し、また、参加者でそれらの打開策を導き出そうというのがこの研修会のねらいでもある。農村で生き抜く術とは何か。この研修を企画したNPO法人きらり水源村の小林和彦事務局長(36歳)曰く、「見過ごされていた資源を元手に、新しい価値を見いだしビジネスを生み出せる能力」のことをいうようである。
 今回の研修は、地域に根ざした活動を実践している小林事務局長の経験をもとに、「地域に埋もれた資源、使える資源を見出し、その資源を何と繋ぎ合わせて、どう新たな価値を生み出すのか。」「地域の悪循環を好循環にかえるように地域をプロデュースするには、どんな力が必要なのか。」といった問題提起から「農(アグリ)×業(ビジネス)」「環境教育×自然学校」「循環型農業・社会」などをテーマにプログラム構成されている。

熱い想いが集結!!
 前述したように、この研修では多様な分野の多彩な講師陣が全国各地から集結している。小林事務局長のネットワークと人脈を駆使し、企業やNPO、行政や教育機関の協力が得られたことによって、幅広い取り組みを通じた研修の実現が可能となった。小林事務局長の人間的な魅力やきくちふるさと水源交流館の活動に共感する熱い思いをもった方々が、この学びの場に集ったといえるだろう。
 意識を同じくする人々が研修を通じてつながり、そこで触発されたインスピレーションが次の新たな動きへと波及してゆく、、、。人と人が出会うことによって、人が磨かれ、磨かれた人々が、農村地域を元気にする・・・この研修の可能性に、漠然とそのようなイメージを膨らませながら参加したところ、研修中、このことを痛感させられる場面に出くわすこととなった。

それぞれの人生が交錯
 兼集では、各分野の第一線で活躍する講師たちが、いろいろな思いを熱意のこもった口調で訴えかけてくる。話は、専門分野にとどまらず、会場の熱気とともに自然に講師個人の「人生」に関するものへと移っていった。「何をきっかけに今の仕事に就くことになったのか」「何のために、今の取り組みを行っているのか」など、ナビゲーターや参加者たちの問いかけによって、一流の講師たちの「生き様」が、露わになってゆく。
 ある講師から「農業をやるなら、卒業後すぐに就農するよりも、会社勤めを経験してからのほうが、消費者の気持ちがわかっていい・・・。」という趣旨の話があった。会場中がその意見に「なるほど!」と頷いたのだが、それに対して、一人の農業高校生は「卒業後すぐに農家になる。」と言い切った。一瞬、会場が大きなっ笑いで包まれたが、農業を営む祖父母をすぐ傍で見て育ったその彼は、「小学校の頃から農業を継ぐことが夢だった。」と清々しく語っていた。まさに、こうした微笑ましい場面の中に、今回の研修の醍醐味が隠されているのだと私は感じた。講師陣はそれぞれの経験から熱い想いを表現豊かに語りかけてくるため、「いかにも、そうだ!」と思いがちであるが、純粋な農業高校生であっても、自分なりの考えをしっかりと持ちながら、自身のフィルターを通して、大人たちの「リアル」な話に真剣に耳を傾けている。
 高校生達は、物事に対して真剣に向き合う大人とのこうしたやりとり(問題提起)の中から、自分なりの考え方や思いを再構築し、着実に高度な判断能力を身につけているように見えた。
 「出会い」の大切さを痛感するとともに、「人材」の持つ無限の可能性を思い知らされる。そんなエピソードであった。
 このようにして生徒達は、ふるさと樂校での学びを通じ、今までは他人事のようにしか捉えられなかった物事も、危機感と共に当事者意識が強く芽生えてくる。たとえ、社会的な問題であっても、我が事として、問題意識を持って臨める人間へと成長していくのだろう。こうした若者達が全国各地へ散らばり、新しい風を巻き起こしてくれることを想像すると、十数年後が楽しみでならない。

講師
小林 崇 氏 (東京都渋谷区 ツリーハウス・クリエーター)
柿沢 直紀 氏(東京都目黒区 株式会社イヌイ)
奥 誠司 氏(宮崎県綾町 早川農苑)
佐々木 豊志 氏 (宮城県栗原市 くりこま高原自然学校) 
高野 孝子 氏(新潟県南魚沼市 ECOPLUS) 
辻 英之 氏(長野県泰阜村 グリーンウッド自然教育センター) 
村上 忠明 氏(愛知県名古屋市 KID’s AU)
中根 忍 氏(沖縄県国頭村 やんばるエコツーリズム研究所) 
高橋 素晴 氏 (鹿児島県枕崎市 アースハーバー&黒潮農場)
山口 久臣 氏 (熊本県熊本市 野外教育研究所)
小林 真一 氏(東京都渋谷区 独立行政法人 国立青少年教育機構)
小野 泰輔氏(熊本県熊本市 熊本県庁秘書課)
上村 剛氏 (熊本県宇土市 宇土青年塾)

ナビゲーター
小林和彦 NPO法人きらり水源村 事務局長
池田親生 合同会社ちかけん
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菊池市 広報 2010年2月号

特集 笑顔に会いたい  

菊池渓谷のすぐ近く、「水源」と呼ばれる地域に、廃校となった校舎を利用したグリーンツーリズムの拠点施設がある。
木造校舎の木のぬくもり、昔懐かしい板張りの廊下、季節ごとに移り変わる窓から見える景色。
地域住民の思い出が詰まったこの施設には、今もたくさんの思い出が増え続けている。

学校が消えた!
子ども達のために
 平成12年3月、旧菊池市立菊池東中学校が廃校になった。
 最後の生徒を送り出した木造校舎は、廊下を走る足音も、黒板に書かれた落書きも思い出として、ただ静かに取り壊される時を待っていた。校舎ではしゃぐ声もなく静まり返った校舎には、春の暖かい日差しだけが差し込んでいた。
 廃校の話が出たとき、周辺住民達は少子高齢化が進む時期に中学校までなくなれば、よりいっそう過疎化に拍車がかかり、地域が疲弊してしまうとの不安を持っていた。だから、廃校にしないでくれと、反対する意見もあった。
 けれど、子ども達たちによりよい教育環境を提供するためにという思いから、現在の菊池北中学校との統合を決めた。未来を担う子ども達を思っての決断だった。

終わりから始まるもの
 「このままでは校舎まで取り壊されてしまう」
 廃校が決まってからの住民達の思いは「校舎を残したい。そして、何かできることはないだろうか」というものだった。子ども達が消えた校舎を取り壊すことなく、新しい施設として活用できないか、と考えたのだ。
 伝統と歴史のある校舎を残したいという思いは、維持管理や補修を集落の住民で負担し続けなければいけないという課題を生んだ。それは過疎化が進む地域にとって、大きな負担となるものだった。
 住民達はどうしたら校舎を残せるか考えるため、水源地域にある11地区から代表者を集めて、平成12年6月22日に、菊池東中学校跡地利用促進協議会を発足した。協議会では、「どうしたら校舎を残していけるか。何に活用できるのか」など、何度も話し合いが持たれた。
 自分たちだけでなく、市へも協力を求め、市による校舎の維持管理と木造校舎を活かした有効活用を主な要望として提出した。これに対して市が出した答えは、「校舎の現状保存と管理を約束すること」「跡地利用には地元などと話し合う」というものだった。
また、自分達にもできることからと、各地区の持ち回りで校舎の清掃作業を行った。
それからは協議会と市、住民が参加してアイディアを出し合った。ワークショップや先進地視察研修も行い、「何ができるのか」「何がやりたいのか」を考えた。そして、そのアイディアを具体化すべく、市と協議会はグリーンツーリズム(注1)に取り組むことになった。
取り組むといっても、具体的な活動の経験もなければ、知識もない。水源地域の住民だけでは企画運営や実施は困難と考えた当時の役員たちは、熊本県清和村の廃校で先進的な廃校活用の活動を行っていた九州沖縄子ども文化芸術協会(通称「こどもあーと」)の柳田茂樹理事長を訪ね、廃校利活用に関する協力を求めた。
地域住民や柳田理事長の協力もあり、平成15年5月、廃校になった学校は「きくちふるさと水源交流館」として新しい一歩を踏み出した。

なぜ、交流館に人が集まるのか
菊池東中学校跡地利用促進協議会は、こどもあーととともに事業実施や組織の体制づくりを進め、民間の特定非営利法人である「NPO法人きらり水源村」を設立した。
きらり水源村が管理する、きくちふるさと水源交流館には、若い人も、お年寄りも、日本人も、外国人も集まる。
なぜ、人が集まるのか。その魅力は何か。きらり水源村理事長の岩崎さんときらりびとの茂藤さん、石山さんにその魅力を聞いた。

ここはふれあいの場だからね。
「何かやらなければという中で、グリーンツーリズムが出た」
ストーブの熱で暖かい事務所の中、ソファに座り岩崎さんが口を開く。きらり水源村が交流館事業を始めて6年、「まだこれから」と話す。
交流館では1年を通じていろんなイベントを行っているが、それを企画・運営するのがNPO法人きらり水源村だ。職員は全部で5人。地域住民の協力を得て、子ども村やおいしい村づくりなどの試験的な取り組みを行い、グリーンツーリズムを地域に根付かせていこうとしている。
農業体験や自然の中で遊び、生活を体験することで、地球の環境保全や食物連鎖、地球上の自然や生命のエネルギーやリサイクルについて学ぶおいしい村づくり事業では、子どもと保護者が交流館で合宿をする。田畑に作物を植えて、収穫した野菜で料理をする。自然の材料を使って道具を作り、自然と人のつながりを肌で感じてもらうのだ。
また、住民を巻き込む仕掛けとして「きらりびと」と呼ばれる制度を用いている。自分のできることを登録し、交流館へ来た人たちに教える。野菜作りから山仕事まで、できることはさまざま。できることに制限はない。地域に伝わる技や知恵、文化などをつないでいく意味もあるこのきらりびと制度には、現在43人が登録している。
「きらりびとはNPO法人を立ち上げる前からやっていた。技を持った人が、子ども達のために始めたのがきっかけ、『きらりと光る技』からきらりびと。持っている技術を伝えるために始めた」と話す岩崎さん。登録してくれる人をもっと増やして、いろんなことが交流館でできるようになりたいそうだ。
「ここはふれあいの場でもあるからね。ワークキャンプも受け入れていて、外国から来た人がここで3ヶ月くらい研修する」と教えてくれた。ワークキャンプとは、世界中の若者が日本の農山漁村で地域住民と共に生活し、ボランティア活動を通じて地域住民と交流するもの。交流館でも平成16年から受入をはじめ、これまでにフランスやドイツなどから400名以上が参加している。「ホームステイも受け入れてるけど、英語は話せなくてね」と苦笑いする岩崎さんだが、楽しいと目を細めた。

注1) グリーンツーリズムとは?
「農山漁村でのゆとり休暇」
 長期のバカンスを楽しむことの多いヨーロッパ諸国で普及した余暇のスタイル。
農山漁村にゆったりと滞在し、農山漁村の体験やその地域の自然・文化に触れ、地元の人との交流を楽しむ余暇活動のこと。
 日本でも恵まれた自然環境や四季の変化、その土地特有の農林漁業、伝統、生活、文化など、都会で生活する人にとって、日頃馴染みの薄い経験に大きな関心が寄せられつつある。

輝く笑顔のきらりびと
2人のきらりびとに話を聞くことができた。2人とも地域の女性が作る加工部に入っており、きらりびと制度が始まる前から交流館で子ども達に野菜作りや郷土料理を教えていて、活動を通じてきらりびとに登録したという。
― 子ども達にどんなことを教えているんですか?
石山さん:料理などを教えています。子ども達と一緒に料理をして、おいしいと言ってもらうととてもうれしい。家族で来て、お母さんの方が楽しんでくれることもあります。それで気に入って、何回も来てくれる。呆け防止じゃないけど、一緒になってやるのは楽しいね。
茂藤さん:煮しめなど郷土料理を教えて、食べて喜んでもらうことが一番。「まいっちょつくるかな」て思います。難しいことは教えません。普段やってることを、子ども達と一緒にやるの。家に帰って作ってくれるといいけど、それはまだ少ないみたい。だから一緒に作ったときは、「お母さんに作ってもらわなんよ」って言ってるの。でも、郷土料理を懐かしいって思わないお母さん達が増えてきたね。
石山さん:お年寄りと暮らさない家族が増えて、懐かしいと言わない世代が親になって、その子どもと来てるから、昔からの料理を懐かしいって感じないみたい。
茂藤さん:だから子ども達に郷土料理を伝えていきたいの。

― 普段は どんなお仕事をしているんですか?
茂藤さん:イチゴ作っとります。
石山さん:交流館から「いついつ来てくれ」って電話があると、仕事ほっぽってこっち来るの。楽しいモンね。
茂藤さん:うちのことせんでよかなら、一日中こっちにおるよ(笑)
石山さん:今はボランティアのようなものだからね。

― 収入は農業だけなんですか?
石山さん:注文があれば、加工部で交流館の設備(旧給食室)を使って、お弁当を作って販売してます。
茂藤さん:でも、3,4人でできる仕事にみんな来たがっちゃうの。同じ年代の人が集まるから、終わってからのお茶と世間話が楽しいみたいね。でも、みんなで分けるから収入は少しになる。
石山さん:だから家の仕事もしないといけないでしょ。
茂藤さん:収入があれば、そんなのほっといて来るよ。楽しんで仕事して、それにオカネが入ってくればなおいいかな。

― じゃぁ、交流館にも人がたくさん来てくれるといいですね。
茂藤さん:今でもたくさんの人が来てくれるけど、もっと菊池に住む人や近くに住む人に来てもらいたかね。だってここを知らない人もまだいるでしょ。それに水源地域の人たちにも、もっときらりびとに登録してくれたら「しめたもん」って思います。
石山さん:旦那も入れなんね(笑)

― 今までの活動でこれは成功したなとか、これは失敗だったというものは何ですか?
石山さん:失敗することもあるかもしれないけど、そこはほら、うまくごまかしてます。
茂藤さん:来てくれた人がすごく喜んでくれたらそれが私の成功。「わぁーよかとこ」ってみんな言ってくれる。喜んでくれると、それが嬉しくてね。

― 楽しいお話をありがとうございました。これからもきらりびととして活躍してください。
茂藤さん&石山さん:こちらこそ、ありがとうございました。

終わりに
2人のきらりびとに会って、最初に感じたのは笑顔がステキなことだった。取材中、笑顔の絶えない2人にこちらまで自然と笑顔になる。本当に楽しそうに、交流館でのことを話してくれるのだ。
インタビューの後、職員が施設を案内してくれた。木造校舎の形を残して、きれいに改装された内部。古いからと壊すのではなく、使えるものは再利用されていた。
昔から菊池にあるものや人がこんなに輝いているのは、そこに受け継がれる思いや伝統が溢れているからなのか。
ここは便利さと新しいものを求める前に、今あるものの良さを見つめなおす場所なのかもしれない。
そして、きらりびとに会いに行けば、きっと笑顔になれる。

問い合わせ先
きくちふるさと水源交流館
〒861-1441 熊本県菊池市原1600
電話:0968-27-0102 FAX:0968-27-0107
ホームページ http://www.suigen.org
ブログ http://gazoo:com/mura/suigen/
開館時間 午前9時~午後6時(事務所)
休館日 毎週水曜日
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